MEJからのお知らせ

令和3年(2021年)年頭所感

2021年1月6日
一般社団法人 Medical Excellence JAPAN
理事長 近藤達也

 新年、あけましておめでとうございます。

 関係省庁、関連団体、会員の皆様には、日ごろよりMedical Excellence JAPAN(MEJ)の活動に多大なるご支援、ご尽力を頂き、心より御礼申し上げます。令和3年(2021年)の年頭にあたり、謹んで所感を申し上げます。

 昨今の新型コロナウィルス感染症の拡大状況を勘案し、誠に残念ながら本年は年始の賀詞交歓会の開催を見合わせることにいたしました。その代わりとして大変恐縮でございますが、当書面にて新年のご挨拶とさせていただきたく、ぜひとも皆様方からのご意見もお寄せいただければと存じます。

 私が一昨年6月にMEJの理事長に就任して、早1年半が経過しました。その間、社会改革の源泉である高い倫理観の重要性を掲げて医療の改革を目指し取り組んでまいりましたが、昨年度は新型コロナウィルス感染症の猛威により世界が様変わりしました。医療機関にて従事されていらっしゃる皆様におかれましては、日々、新型コロナウィルス感染症と対峙いただき、治療の最前線で奮闘されていますことに深甚なる敬意を表します。その渦中でも、我々MEJは引き続き世界の皆さんに「健康」と「叡智」と「富」をもたらす医療と医学のイノベーションを目指す構想に取り組んでまいりました。昨年の取り組みを通じての所感、そして本年の冒頭にあたっての思いにつき、述べさせていただきます。

 素晴らしい倫理観に裏打ちされた日本の医療は既に世界一のレベルにあるという、自明であるにも拘わらず積極的に提唱できていなかった事実を旧年来申し上げ続けております。世界に誇る素晴らしい国民皆保険制度が現在の形になって施工されたのが1961年、今年で60年を迎えます。その制度の成果として、患者中心を行動原理としたチーム医療、スピード感のある医療、ハイレベルで均質化された医療サービスの品質と安全性、全国レベルで均てん化された医療など、国民の皆様にとって大変有益な医療が実現されました。一方で、世界に目を向けてみますと、自国に於ける医療の質を上げていきたいという思いは、各国共通の絶対的な価値観です。日本が皆保険制度の下で育んできた医療を世界の医療の質の向上に活かしていくことは、世界の誰もが渇望するところでもあり、そのことが世界の平和と安全保障に寄与していくのはないでしょうか。その為にも、MEJは日本の医療のブランド化に積極的に取り組み続けます。日本の医療の強みを論理的に、且つ外国の皆様に強く響くような形で整理し、それを様々なプラットフォームや外国のパートナーを通じ発信していくことで、日本の医療に対する潜在的なニーズの喚起を一段と進めていきます。その活動が、近い将来の日本の医療のインバウンド、アウトバウンド事業に繋がっていくと考えています。

 昨年は渡航活動が制限され、医療渡航の患者の皆様の往来が困難でしたが、このような状況だからこそ、今後の医療インバウンド、アウトバウンド事業のさらなる成長の為の医療の国際連携の基盤整備を推進してまいりました。日本の医療の課題に対する取り組みを現在進行形の形で国内外に打ち出していく四次元医療改革研究会、パートナー国にMEJ同様の組織を構築し協働体制を敷いていくMExx構想、日本の医療と医療産業に出会う場を提供するMeets JAPANという三つの新事業を中核とした中期計画を策定し、活動に着手いたしました。この一連の活動をダイナミックに推進していくことで、MEJが目指す「世界に健康と叡智と冨をもたらす医療と医学のイノベーションの実現」を果たしてまいります。

 以下、今後の課題について三点お話させていただきます。

 一つ目は国際的な協調関係の整備です。数多の取り組みを進めてきたにも拘らず、主に日本からの視点に基づいた提供で占められ、その継続性や自律性には課題がありました。前述のとおり、患者中心の合理的医療を実践し自国の医療の質を向上させることは各国共通の絶対的な価値観であり、各国が医療の強みと弱みを補い合いつつ、協働の形で医療の質を高めていくことは、国際的な共通言語となるべきものです。関係各国で患者中心の合理的医療を実現させるというMEJの指針の具現化の一環として、医療の質の向上という絶対的価値観に基づき、多国間の互恵的協働の成果により世界の国民が健康と長寿を享受できる仕組み、また産官学医の連携により、デバイスラグやドラックラグのない、透明性が高い健全な医療と産業の発展を達成できるような仕組みの構築を目指します。それは例えば医療の共栄圏「Medical Excellence Commonwealth」とも呼べる枠組みであり、各国で整備を進めるMExxを包括的に纏める機構として機能させていきたいと考えています。この構想を、武見敬三先生のご指導による「アジア薬事戦略構想」、そして政府が推進する「アジア・アフリカ健康構想」とも十分に連携を取りながら、国家の外交戦略に日本の医療をご活用いただくことを念頭において進めてまいります。

 二つ目はこのMEJの組織構成についてです。世界一の医療を支えているのは、医学、薬学、工学などのアカデミア、医療機器産業、医薬品産業、再生医療産業、流通、融資等であり、それらが規制当局、政府により患者目線で適切に管理される仕組みであるということです。従って、今後は医療に関わるあらゆる構成員について発展的に考えていきたいと思っています。また、MEJの活動範囲は広がりつつあり、現体制の事務局のリソースだけでの実践は困難です。今後は企業会員やフォーラム会員の皆様の更なるご協力をお願いしつつ、MEJの中期計画が実現可能な体制の整備を進めてきたい次第です。

 三つ目は、新型コロナウィルス感染症に拡大による、特に医療インバウンド事業への影響です。非常に厳しい環境が続く中、様々な課題を一つずつ解決しながら進めるためには、医療機関、医療渡航支援事業者、行政が一丸となって対応していくことが必須です。MEJは皆様との信頼関係の下、患者中心の医療の提供ために解決すべきことに取り組んでいきます。

 最後になりますが、MEJが考える医療の国際展開の活動は、産業界の有志である企業会員の皆様、医療界の有志であるMEJフォーラム会員、JIH推奨病院の皆様、AMTAC認証企業の皆様のご協力無しでは成り立つことができません。以上申し上げた活動等を通じて、皆様への貢献に向けた活動を一層取り組んでいく所存です。暫し七難八苦の渦中でありますが、必ず光が見えてまいります。その光の先に、間違いなく大きな飛躍が控えています。この一年の皆様方のご発展と一層のご活躍を祈念いたしまして、私の新年のご挨拶とさせていただきます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。


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